LINEに届いた週間取引報告と翌週の計画
LINEには、BTC・ADA・XEMなどの暗号資産を使った取引結果と、翌週の予想収益率が示されていました。


週間16ドルの利益なのに、50%以上の収益?
当時は疑問に思わなかった数字を、今の私が日本円に置き換えて考えてみます。
月曜日
ADAUSDのショート:2ドルの利益
火曜日
BTCUSDのショート:1ドルの利益
ADAUSDのロング:3ドル以上の利益
水曜日
XEMUSDのショート:3.5ドルの利益
木曜日
ADAUSDのショート:2ドルの利益
金曜日
XEMUSDのショート:4.5ドルの利益
LINEには、「先週は合計で16ドルの利益を得ました」と書かれています。上記の数字は、火曜日の「3ドル以上」を3ドルとして足すと16ドルになります。
もし16ドルが実際の米ドル建て利益額なら
1ドル=150円と仮定すると、16ドル × 150円 = 2,400円。
10,000ドル(約150万円)を元金と仮定した場合、16ドルの利益率は0.16%です。
ところが、続くLINEには「今週の利益は50%以上に達しました」とあります。例えば150万円に対する50%なら75万円。2,400円とは大きく異なります。
ただし、16ドルと50%という数字だけで矛盾や虚偽とは断定できません。 利益率は、何を元金として計算したかによって変わるからです。例えば元金が32ドルなら、16ドルの利益は50%になります。
「16ドル」は何を表していたの?
取引では「16ドルの利益」と「価格が16ドル動いた」は別の意味です。後者の場合、取引数量によって利益額が変わります。しかも今回の報告はBTC・ADA・XEMという異なる銘柄の数字を足しています。
私は当時、この「ドル」が実際の利益額なのか、価格の値幅なのか、説明を受けた記憶がありません
数字を見るときに確認したい3つのこと
☑️ 16ドルは、実際に受け取れる16米ドルの利益?
価格の動きや別の単位を表していないか。
☑️ 50%以上とは、何に対する割合?
口座全体の資金なのか、取引に使った証拠金なのか。
☑️ 取引の根拠は確かめられる?
取引数量、約定価格、決済価格、手数料を確認できるか。
LINEに書かれていた4月8日〜12日の予想収益率
翌週の計画には、毎日20〜35%という数字が並んでいました。
4月8日(月)
予想収益:20%
4月9日(火)
予想収益:20%
4月10日(水)
予想収益:35%
米国消費者物価指数(CPI)
4月11日(木)
予想収益:30%
米国新規失業保険申請件数
4月12日(金)
予想収益:25%
「20%」「35%」が口座全体の資金に対するものか、証拠金に対するものかも、この取引計画だけでは分かりません。
利益も欲しかった。そして、そろそろ募金もしたかった
私は、利益を増やすことだけを考えていたわけではありません。
もっと運用資金があればと思っていました。でも、追加で運用できるお金は残っていませんでした。そのため、少ない取引回数でも、少しずつ着実に増やしたいと考えていました。
それと同時に、「そろそろ被災地への募金も始まるのかな?」と思っていました。
私は、このグループが被災地への募金を目的に集まったものだと心から信じていました。利益の何%かを募金するような共通の決まりが、いずれ設けられるのだろうと思っていたのです。
なぜ20%・30%という利益率を不思議に思わなかったのか
当時の私は、暗号資産取引の一般的な損益やレバレッジの危険性を十分に理解していませんでした。
「レバレッジがあるから、こんな利益率になるのかな」。そう受け止めていました。

証拠金とレバレッジ100倍とは?
レバレッジ100倍とは、たとえるなら「10万円の手元資金で、1,000万円分のギャンブルをしている状態」です。
証拠金は取引のために預ける担保のお金。レバレッジは、その何倍の金額を取引するかを表します。

証拠金10万円で比較すると
1倍
取引金額:10万円
価格が1%逆行した場合:約1,000円の損失
2倍
取引金額:20万円
価格が1%逆行した場合:約2,000円の損失
10倍
取引金額:100万円
価格が1%逆行した場合:約1万円の損失
100倍
取引金額:1,000万円
価格が1%逆行した場合:約10万円の損失
※いずれも証拠金10万円を使った単純計算です。実際には手数料、資金調達費用、証拠金維持率、強制決済などが影響します。

当時の取引画面では、最初から100倍に設定されていました。被害に気づいてから、日本国内の個人向け暗号資産デリバティブ取引のレバレッジ上限は原則2倍だと知りました。海外に100倍の商品があることだけで架空取引とは断定できませんが、損失の危険は非常に大きくなります。
米国CPIとは? なぜ暗号資産が動くのか
CPIは、アメリカの物やサービスの価格がどれだけ変わったかを示す経済指標です。
CPIが市場予想を上回ると、インフレが強く金利が高い状態が続くとの見方から、BTCなどが売られる場合があります。逆に予想を下回ると、利下げ期待で買われる場合もあります。ただし、必ずその方向に動くわけではありません。
公式情報:米国労働統計局(BLS)のCPI
米国新規失業保険申請件数とは? なぜ取引に影響するのか
アメリカで新たに失業保険を申請した人の数で、雇用や景気の状態を知るための指標です。
申請件数が予想より多ければ雇用の弱さが意識され、利下げ期待から暗号資産が買われることがあります。一方、景気悪化への不安から売られることもあります。重要なのは、発表値と市場予想の差です。

公式情報:米国労働省の失業保険統計
市場データで比較:2024年4月10日のCPI発表後
LINEでは、この日の予想収益は35%でした。以下はBinanceのBTCUSDT・ADAUSDT・XEMUSDT現物1分足による、指定時点の価格変動率です。
BTC
1分後:−0.66%
5分後:−1.03%
30分後:−1.44%
60分後:−1.85%
ADA
1分後:−0.94%
5分後:−1.25%
30分後:−1.54%
60分後:−2.06%
XEM
1分後:−0.85%
5分後:−1.19%
30分後:−1.42%
60分後:−1.91%
この比較では、60分後は3銘柄とも下落し、最も大きかったADAは約2.06%の下落でした。これは市場価格の変動率であって、取引利益率ではありません。
市場データで比較:2024年4月11日の失業保険申請件数発表後
LINEでは、この日の予想収益は30%でした。同じ方法で価格変動率を比較します。
BTC
1分後:+0.50%
5分後:+1.03%
30分後:+1.24%
60分後:+1.04%
ADA
1分後:+0.64%
5分後:+1.03%
30分後:+1.00%
60分後:+1.03%
XEM
1分後:+0.63%
5分後:+1.32%
30分後:+1.37%
60分後:+1.30%
この比較では、60分後は3銘柄とも上昇し、XEMは約1.30%上昇していました。しかし、価格上昇だけでLINEの「30%の利益」が得られたとは言えません。
比較方法と注意点
日本時間21時29分開始の1分足終値を基準に、21時30分・21時34分・21時59分・22時29分開始の1分足終値を比較した数値です。「1分後」などは指定した足の終値であり、発表直後の瞬間価格や途中の最大変動幅ではありません。
計算式:価格変動率(%)=(比較時点の終値 ÷ 基準価格 − 1)× 100。数値はこれまでの検証結果を引き継いだもので、今回のHTML整形作業では元の1分足ファイルを再計算していません。
データの公開元:Binance Historical Market Data
LINEの35%・30%という予想は本当だったのか
経済指標の発表時に市場価格が動いていたことと、LINEの予想どおりの利益が得られたことは別です。
レバレッジ100倍なら、価格が0.35%動くだけでも、単純計算では証拠金に対して約35%の損益になり得ます。しかし、逆方向なら損失になります。LINEの予想を確かめるには、取引時刻・売買方向・数量・約定価格・決済価格などの記録が必要です。
画面に表示された利益は、本当に取引された結果なのか
大きな利益が画面に表示されていても、それだけで実際の市場で取引が成立した証拠にはなりません。

異なる取引所や通貨ペアの価格差だけで、不正な価格操作と断定することもできません。取引業者の登録状況や出金条件を含めて確認する必要があります。
☑️ 投資勧誘を見たときの8つのチェックリスト
利益の数字を見て迷ったとき、追加送金を求められたときに、一つずつ確認してほしい項目です。
分からない項目があるなら、送金を急がず立ち止まってください。
業者の確認:金融庁の登録業者一覧/金融庁の注意喚起
今だから分かること――本物の経済指標と、本物の取引は違う
当時の私は、専門用語や利益の数字を見て、取引の仕組みを理解できているような気持ちになっていました。
でも、数字の意味や計算根拠までは確認していませんでした。利益を増やし、いつか被災地への募金につなげたい。その思いもありました。
本物のCPIや雇用指標を使った説明だからといって、投資先まで安全だとは限りません。今、SNSやLINEで高い利益を示されている人には、「何円の利益?」「何に対する何%?」と確かめてほしいです。
私は止まれませんでした。だから、あなたには止まってほしい
参考資料・関連記事
当時のLINE記録と、外部の公開情報を分けて確認できるようにしました。
English Summary
In April 2024, I participated in a cryptocurrency investment group on LINE. The group reported weekly profits of 16 dollars while also claiming returns exceeding 50%. However, the meaning of these figures and how the returns were calculated were not clearly explained.
The group also projected returns of 35% during the US Consumer Price Index (CPI) announcement and 30% during the release of US unemployment insurance claims data.
I compared historical market data for Bitcoin (BTC), Cardano (ADA), and NEM (XEM). Although prices moved around these announcements, the data alone could not confirm the claimed profits. The platform also displayed 100x leverage, exposing traders to potentially substantial losses.
At the time, I sincerely believed that the group intended to use part of its investment profits to support disaster victims. I trusted the group’s purpose without fully understanding the risks or the calculations behind its reported returns.
Real economic data does not guarantee real investment profits. Always verify trading records, financial risks, and investment platforms independently before sending money.
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