詐欺の手口

詐欺師の市場分析は本物だった?2年後に取引画面を検証して分かったこと

この記事の内容

2年前の「先生の市場分析」を、今もう一度見直してみた

投資詐欺に遭ってから、私は本物の株式投資を少しずつ勉強するようになりました。

チャートを見ること。高値や安値を見ること。経済指標によって相場が大きく動くこと。価格差から利益や損失が計算されること。

以前の私には分からなかったことが、少しずつ分かるようになってきました。

そこで、ふっ、と疑問が浮かびました。

「LINEグループで“先生”が投稿していた市場分析は、本当に正しかったのか?それともデタラメだったのだろうか?」

詐欺だったと分かったあと、私は市場分析も取引画面も、すべて適当に作られたものだと思っていましたが、

当時のスクリーンショットを残していたことから、2年以上たった今、実際の市場データと一つずつ照らし合わせてみることにしました。

すると、私が想像していたよりも、ずっと複雑なものが見えてきました。

2024年4月3日の市場分析と暗号資産取引を2年後に検証する内容を分かりやすくまとめた導入漫画
当時は「詳しい市場分析=信用できる人」だと思っていました。

まず見直したのは、当時のLINEグループの流れ

2024年4月3日のLINEグループでは、暗号資産の話が朝から続いていました。

口座を開設したという人。入金したという人。「少額でも始められる」と話す人。

初心者なので不安だと質問する人がいれば、「私も初心者だったけれど簡単だった」と安心させる人もいました。

2024年4月3日の投資LINEグループで暗号資産口座や取引について会話している実際の記録
実際のLINE記録です。

暗号資産取引についてグループ参加者同士がやり取りしているLINE記録
グループ内では暗号資産取引への参加を後押しする会話が続いていました。

暗号資産口座への入金や取引開始について話す投資LINEグループの記録

そして午後、「先生」の本格的な市場分析が始まった

午後になると、先生と呼ばれていた人物から、BTCUSD、ETHUSD、LTCUSDの市場分析が次々と投稿されました。

チャートを使いながら、上値、下値、サポートライン、売買を考える価格帯などが具体的に示されていました。

投資に必要な資金について質問する参加者がいるLINEグループの記録

少額から暗号資産取引を始められると説明するLINEグループの記録

70万円から取引を始め後から資金を追加したと話す参加者のLINE記録

暗号資産取引口座の開設や担当者への問い合わせについて説明するLINE記録

暗号資産口座に資金を追加したと報告するLINEグループ参加者の記録

相場が良いうちに利益を得なければ後悔すると投資を急がせるようなLINE記録

サクラは「利益自慢をする人」だけではないのかもしれない

今回、LINEを読み返して特に気になったのが、

それぞれ違う人物が話しているのに、
会話全体は少しずつ「口座を開設する」「入金する」という同じ方向へ進んでいく、
参加者それぞれの役割です。

先生として市場を分析する人。初心者として質問する人。「私も最初は不安でした」と共感する人。

利益や入金を報告する人。先生を褒める人。「今がチャンス」と焦らせる人。そして最後に口座開設や取引へつなげる人。

もちろん、当時の発言だけから、一人ひとりをサクラだったと断定することはできません。

しかし、もし複数の人物がそれぞれの役割を持っていたとしたら、これはかなり巧妙です。

投資詐欺グループで先生役、初心者役、成功体験役、共感役、焦らせ役などが役割を分担する様子を描いた漫画
一人ひとりではなく、グループ全体を見ると別の構造が見えてきます。

複数の参加者による安心、称賛、入金報告などが口座開設へつながっていく様子を描いた漫画

今の私なら、一人ひとりの発言よりも、まず
「グループ全体が私をどこへ誘導しようとしているのか」を見ると思います。

初心者の不安に対して別の参加者が安心させ口座開設へ導くLINEグループの記録

当時の私には、この分析がとても専門的に見えました。
「ここまで詳しく分析できる人なら信用できる」
そう思ったことを覚えています。

調べてみると、ADP雇用統計そのものは本当に発表されていた

今回まず確認したのは、「2024年4月3日に米国3月ADP雇用統計が発表された」という話でした。

これは事実でした。

さらにBTCやETHについても、先生が示していた価格帯と、
その日に実際に市場で動いていた価格帯を比べてみました。

BTCでは、先生が下値として示していた64,458ドル付近に対して、
その日の実際の安値もおよそ64,500ドル前後でした。

ETHでも、先生が下値として示していた3,202ドル付近に対して、
実際の安値は3,200ドル台でした。

すべての予測が当たっていたという意味ではありません。

しかし少なくとも、実際の市場と大きくかけ離れた架空の数字を並べていたわけではなかったことが分かりました。

ここで、私の思い込みが一つ崩れた

私は長い間、「詐欺なんだから、市場分析も全部ウソだったのだろう」と思っていました。

でも、今回の検証ではそんな単純な結果にはなりませんでした。

本物の経済指標。
実際の市場価格に近い数字。
もっともらしいチャート分析。

本物の情報を材料として使えば、それを見た側は
「この人は本当に相場を知っている」と感じます。

私が信じてしまった理由の一つは、ここだったのかもしれません。

21時15分のADP発表後、実際に取引が始まった

その日の夜、ADP雇用統計が発表されたあと、取引の指示が届きました。

2024年4月3日21時23分にADAUSDを11ロット買うよう指示され、BTCUSDと合わせて含み損が表示された実際の取引画面
21時23分ごろ、ADAUSD BUY 11ロットの取引が始まりました。

画面上では、ADAUSD BUY 11ロット、BTCUSD SELL 1.09ロットというポジションを持っています。

取引を始めた直後、合計の含み損は-620.38ドルになっていました。

ところが約40分後――。

ADAUSD取引を決済した後に大きな利益が表示された暗号資産取引画面
約40分後には大きな利益が表示されていました。

ADAUSDには+5,225.00ドル、BTCUSDには-0.99ドルと表示されました。

当時の私にとって、この結果は強烈でした。

最初は大きなマイナス。

それでも先生を信じた。

そして最後には利益になった。

「やっぱり先生はすごい」

そう感じても不思議ではない流れでした。

2年後、私はこの取引の数字を計算してみた

当時は「利益が出た」という結果しか見ていませんでした。

しかし今回、価格差・ロット数・損益・証拠金を一つずつ逆算しました。

ADAUSDとBTCUSDの価格差、ロット数、損益、証拠金を2年後に計算して検証した内容をまとめた漫画
当時は利益だけを見ていました。今回は、表示された数字がどう計算されていたのかを逆算しました。

ADAUSDは、画面上では0.5775で買い、0.5870で決済しています。

価格差は0.0095ドルです。

そして利益は5,225ドル

この数字から逆算すると、取引数量は550,000 ADAになります。

11ロットで550,000 ADA。

つまり、この画面の計算上では、

1ロット=50,000 ADA

として扱われていたことになります。

取引直後の「-55ドル」でも確認できた

21時24分の画面では、ADAUSDは0.5775から0.5774へ下落し、-55ドルと表示されています。

値幅は0.0001ドル。

550,000 ADA × 0.0001ドル = 55ドル

こちらも計算が一致しました。

BTCUSDの損失も計算が合った

BTCUSD

BTCUSDはSELL 1.09ロット。

65,245.91から65,764.61へ価格が上昇していたため、売りポジションでは損失になります。

価格差は518.70ドル。

これに1.09を掛けると、およそ565ドル。

画面に表示されていた-565.38ドルとほぼ一致します。

証拠金の数字まで確認した

21時24分の画面には、次の数字が表示されていました。

残高 36,748.20 USD
有効額 36,127.82 USD
証拠金 18,111.80 USD
可能額 18,016.02 USD
証拠金率 199.47%

36,127.82 - 18,111.80 = 18,016.02

表示されている「可能額」と一致します。

さらに、

36,127.82 ÷ 18,111.80 × 100 = 約199.47%

こちらも画面上の証拠金率と一致しました。

ここで重要なのは

「数字が合う」ことと「本物の取引」は別だった

市場価格が本物でも、取引先が本物とは限らない。
市場分析に根拠があっても、安全な投資とは限らない。
利益や証拠金の計算が合っていても、
その利益を実際に市場で得たことの証明にはならない。

私は当時、この3つを一つにして考えていました。
「分析が詳しい」「数字が合う」「利益が出る」

だから、
「この取引先は本物だ」
と考えてしまったのです。

もし本物の取引所で、同じ取引をしていたら利益はいくらだった?

ここで、もう一つ気になったことがあります。

「もし2024年4月3日に、実際の市場へ注文が出る正式な取引所で、まったく同じ価格・同じ取引数量で売買していたら、利益はいくらになっていたのだろう?」

そこで、画面に表示されていた数字をそのまま使って計算してみました。

ADAUSD

ADAUSDの利益を計算

画面上のADAUSDは、

買値:0.5775ドル
売値:0.5870ドル
取引数量:550,000 ADA

価格差は、

0.5870 - 0.5775 = 0.0095ドル

この値幅に550,000 ADAを掛けます。


0.0095ドル × 550,000 ADA
= 5,225ドル

つまり、正式な取引所でも550,000 ADAを0.5775ドルで実際に買い、
0.5870ドルで全数量を実際に売却できていた
とすれば、

手数料などを差し引く前の理論上の利益は、
+5,225ドル
となります。

これは当時の取引画面に表示されていた+5,225.00ドルと一致します。

BTCUSDも同じように計算してみた

BTCUSD

BTCUSDはSELL、つまり売りから入った取引でした。

売値:65,245.91ドル
買い戻し価格:65,246.82ドル
取引数量:1.09 BTC

価格は0.91ドル上昇しています。

売りポジションでは、価格が上昇すると損失になります。

65,246.82 - 65,245.91 = 0.91ドル
0.91ドル × 1.09 BTC = 約0.99ドルの損失

こちらも、取引画面に表示されていた-0.99ドルとほぼ一致します。

2つの取引を合わせると

ADAUSDの利益が+5,225.00ドル。

BTCUSDの損失が-0.99ドル。


5,225.00ドル - 0.99ドル
= 約5,224.01ドル

つまり、もし正式な取引所で同じ数量を持ち、同じ価格で実際に約定できていたとすれば、
手数料などを考慮する前の損益は約+5,224ドルになります。

数字だけを見ると、当時の取引画面に表示されていた利益は、相場の値幅と取引数量から成立する計算だったのです。

ただし、この利益を出すには非常に大きなポジションが必要だった

さらに、取引金額そのものも計算してみました。

ADAUSD

550,000 ADA × 0.5775ドル = 317,625ドル

つまりADAだけで、約31万7,625ドル分のポジションを持っていた計算になります。

BTCUSD

1.09 BTC × 65,245.91ドル = 約71,118ドル

BTCを合わせると、2つの取引のポジション総額は、


317,625ドル + 約71,118ドル
= 約388,743ドル

約38万8,743ドル分のポジションです。

当時、私は「ADAUSD 11ロット」「BTCUSD 1.09ロット」という数字を見ていました。

でも、その中身を逆算すると、画面上ではこれほど大きな金額を動かしていた計算になります。

レバレッジ100倍なら、どれくらいの証拠金が必要だった?

当時、私にはレバレッジ100倍と説明されていました。

単純に100倍のレバレッジで約388,743ドル分のポジションを持つと考えると、理論上必要な証拠金は、


388,743ドル ÷ 100
= 約3,887ドル

となります。

そのため、当時の画面に表示されていた口座残高36,748.20ドルだけを見ると、100倍という条件なら、ポジションを持つための資金自体は足りていた計算になります。

ただし、ここには一つ気になる点があります。

実際の画面に表示されていた証拠金は、

18,111.80ドル

でした。

単純な100倍レバレッジなら約3,887ドルになるはずなので、画面に表示された18,111.80ドルとは一致しません。

銘柄ごとに必要証拠金率が違っていた可能性や、独自の計算方式が使われていた可能性もあるため、この違いだけで何かを断定することはできません。

ただ、今の私なら、

「100倍と説明されたのに、なぜ証拠金の数字がこの計算になるの?」

と確認するポイントだったと思います。

利益額そのものは、荒唐無稽な数字ではなかった

今回の計算で分かったのは、意外なことでした。

+5,225ドルという利益額そのものは、価格差と取引数量から計算すると成立します。

つまり、「こんな利益は絶対にあり得ない」という単純な話ではありませんでした。

同じ価格で550,000 ADAを本当に取引していたなら、正式な取引所でも理論上は同じ5,225ドル程度の利益が出ます。

だからこそ、当時の画面は私にとって説得力がありました。


ただし、「利益の計算が正しい」ことと、
「実際に市場へ注文が出されていた」ことは別です。

正式な取引所で本当に550,000 ADAを売買すれば、この値幅なら5,225ドルの利益になります。

しかし、画面に5,225ドルと表示されているだけでは、実際に550,000 ADAが市場で売買されたことまでは確認できません。

ここが、今回の検証で最も大切な違いでした。

市場価格が本物。
計算式も正しい。
利益額も数学的には成立する。

それでも、それだけでは「本物の取引が行われた証明」にはならない。

でも本当は、それぞれ別々に確認しなければいけませんでした。

☑️ その投資グループ、本当に参加者同士ですか?

送金する前に、グループ全体を確認してください












複数当てはまったら、一度グループから距離を置いてください。

見るべきなのは、「この人は怪しい?」だけではありません。

「なぜ別々の人たちが、私を同じ方向へ動かそうとしているのだろう?」

という視点も大切です。

☑️ 「先生の市場分析」を信じる前に確認すること

市場分析が本物に見えたときこそ、自分でも確認してください












本物の市場データを使った分析でも、その取引先が安全である証明にはなりません。

本物の情報が混ざっているからこそ、見抜くのが難しかった

今回の検証を始める前、私は「調べれば全部デタラメだと分かるだろう」と思っていました。

でも、結果は違いました。

本当に発表された経済指標。

実際の市場に近い価格。

もっともらしい市場分析。

そして、計算すると辻褄の合う取引画面。

「偽物なら、どこかに分かりやすい間違いがある」

そう思っていると、見抜けないケースがあるのだと思います。

むしろ、本物の情報や正しい計算が混ざっているからこそ、私は信用してしまいました。

今なら、確認する場所を変えます。

「先生の分析は当たっている?」だけではありません。

「私は誰にお金を預けようとしているのか?」

「その取引先そのものを、自分で確認したのか?」

そこまで確認する必要がありました。

今まさに似たLINEグループの中にいる人へ

もし今、あなたが同じようなLINEグループの中にいて、先生の分析が当たり、周囲の人も利益を出しているように見えているなら。

それだけを理由に、急いで送金しないでください。

「みんながやっているから」でもありません。

「先生が詳しいから」でもありません。

「画面の数字が合っているから」でもありません。

焦らない。送金しない。追加しない。自分でも確認する。

一度スマートフォンから離れて、自分とは関係のない第三者の情報で確認してください。

2年前の私は、ここまで考えることができませんでした。

だからこそ、当時のスクリーンショットを残していた意味が、今になって少し分かったような気がします。

私の記録が、今まさに同じような状況にいる誰かの、

「ちょっと待って。本当に大丈夫?」

という一度の立ち止まりにつながればと思っています。

私は止まれませんでした。だから、あなたには止まってほしい

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Two years later, I reviewed the cryptocurrency trades shown to me during an investment scam.
Surprisingly, the market prices and profit calculations were remarkably consistent with real trading mathematics.
The ADA trade, for example, mathematically produced the displayed profit of $5,225.
But accurate numbers do not prove that the trades were actually executed in a real market.
That mixture of real financial knowledge and deception is exactly what made the scam so convincing.

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