「7300ドル。100万円超えました。気絶😵」
2024年4月3日、私は自分の取引画面に表示された大きな利益を見てLINEを送りました。
その夜、グループLINEでは「先生ありがとう」「4380ドル稼ぎました」「20294ドル!」といった利益報告が次々と投稿され、さらに次の取引について「利益率は取引金額の40%と予想されています」と案内されました。
当時の私は、別の暗号資産取引所でも価格を確認したほうがいいのではないか――と一度は思いました。
でも、思っただけで行動には移せませんでした。
あれから約2年。今回は当時のLINE、取引履歴、そして2024年4月3日のXEMの公開市場データを照らし合わせ、「あの日、私の画面に表示されていた価格と利益は、外の市場とどう違っていたのか」を検証します。
2024年4月3日、LINEグループでは利益報告が次々と流れた
まずは、この夜に実際に起きていたことを時系列で振り返りたいとおもいます。
グループLINEでは、取引開始を待つ参加者のメッセージが続いていました。

そして取引終了の指示が出ると、空気は一変します。




これだけの成功報告を短時間に見続ければ、
「みんな本当に儲かっている」
「先生の指示通りにすれば、自分も利益を出せる」
そう感じやすくなります。
ただし、ここは現在の私から明確に区別しておきます。
LINEに利益報告や取引画面が投稿されたことは確認できます。しかし、それだけで投稿者が実際に外部へその金額を出金できたことや、実市場で同じ取引が成立したことまでは証明できません。
私には「21時15分・XEMUSD・20ロット」と具体的な指示が届いた
グループLINEとは別に、私には個別の取引指示が届いていました。
指定された操作時間は日本時間21時15分。通貨ペアはXEMUSD、購入数は20ロットでした。

21時15分になると、さらに具体的な指示が届きます。
「XEMUSD」「成行売り――SELL」

私の画面では、エントリー価格は0.04495。
取引直後には-1,200ドルの含み損が表示されていました。
それでも私は自分で判断して決済せず、次の指示を待ちました。
そして21時41分ごろ、
「取引を終了してください!!!」
というメッセージが届きました。
決済後、私の画面には「+7,300ドル」と表示された
決済すると、取引画面の数字は大きく変わりました。


取引履歴には、
XEMUSD.inv
SELL 20ロット
0.04495 → 0.04422
利益 7,300ドル
と表示されていました。
当時の私は興奮して、LINEでこう送りました。
「7300ドル 100万円超えました 気絶😵」

返信では、経済指標を利用した取引で利益を得たことを祝福され、分析チームの判断や今後の利益計画について説明されました。
私が相手への信頼を強めていった理由の一つは、この体験だったと思います。
その夜、さらに「利益率は取引金額の40%」と案内された
7,300ドルという利益表示で終わりではありませんでした。
22時17分ごろ、グループLINEに次の取引についての案内が投稿されます。

そこには、アメリカの3月の非農業雇用統計(NFP)が発表され、市況が大きく変動する可能性があること、そして、
「笹田大先生も直接取引を指導し、利益率は取引金額の40%と予想されています」
と書かれていました。
さらにグループLINEでは、「7303.80ドル」「4380ドル」「5880ドル」「20294ドル」「1850ドル」と、次々に利益報告が流れていました。
そんな状況で、今度は「利益率は取引金額の40%と予想」という案内です。
100万円なら40万円。もっと取引金額を増やせば、利益もさらに大きくなる。
当時の私は、そんな未来を想像していました。

今振り返ると、ここで確認するべきだったのは「みんな、すごい」ではありませんでした。
「この利益は、実際の市場価格で計算しても同じように出るのだろうか?」
本来なら、そこで一度LINEの外へ出て、別の取引所の価格を確認する必要がありました。
私は当時、それを思いつきながらも実行できませんでした。
そこで約2年後、2024年4月3日の市場データを実際に探し、あの日の取引をもう一度計算してみることにしました。
2年後、「0.04422は本当の市場にもあったのか」を調べた
ここからが今回の検証です。
私は被害当時にも、「自分が使っている取引所以外の価格も確認したほうがいいのでは?」と思ったことがありました。
でも、どこを見ればいいのか、何を比較すればいいのか分からない。
結局、思っただけで行動には移せませんでした。
そこで今回、2024年4月3日のXEMについて、外部の市場データと照合しました。
比較で特に注目したのは、私に決済指示が届いた21時41分ごろです。
まずBinanceの過去データを取得した
最初にBinanceの公開データからXEM/USDTの過去データを探しました。




取得した1分足データでは、21時15分ごろから21時41分ごろにかけて、XEM/USDTは実際に下落していました。
代表値で見ると、21時15分ごろの約0.04534から、21時41分ごろの約0.04477へ。
約26分で、およそ1.26%の下落です。
つまり、重要なことが一つ分かりました。
SELL(売り)という方向そのものは、実際の市場の値動きと合っていました。
すべてが現実と反対だったわけではありません。
本物の相場も下落していたからこそ、「先生は本当に相場を読んでいる」と感じやすかった可能性があります。
しかし「0.04422」はBinanceの同時間帯では確認できなかった
一方で、私の画面に表示された決済価格は0.04422でした。
Binanceの21時41分の1分足では、安値は約0.04470。さらに21時台を確認しても、最安値は約0.04467でした。
今回取得したBinanceのXEM/USDTデータでは、私の画面に表示された0.04422を確認できませんでした。
Gateでも過去データを探した
一つの取引所だけで判断しないため、別の市場も調べました。




今回利用した取得方法では、比較に使える該当データを確認できなかったという結果にとどめます。
Poloniexの公開APIも確認した
さらにPoloniexの公開データも確認しました。
*(注)⬇数字のみの画面ですがバグではありません




該当時間のPoloniexデータでは0.04513が表示され、出来高は0でした。
このデータからも0.04422で実際の取引が成立したことは確認できませんでした。
複数の市場を比較すると、何が見えたのか
今回確認できたBinance、CoinEx、Poloniex、KuCoinのXEM/USDT公開データを同じ時間帯で比較しました。
結果として、INVDOMの画面に表示された決済価格0.04422は、今回確認した複数市場の同時間帯データでは確認できませんでした。
私の取引画面にはXEMUSD.invと表示されていました。一方、今回比較したのは主にXEM/USDTです。
取引所、商品仕様、参照価格、USDとUSDT、現物・CFD・デリバティブ、Bid/Ask、スプレッドなどによって価格が異なる可能性があります。
この記事で確認できた事実は、より限定的です。
「私の画面に表示された0.04422と、今回確認した複数の公開市場データは一致しなかった」
ここまでが、データから確認できた範囲です。

ここまでの検証は数字が多いので、一度整理します。
ポイントは、「先生のSELL指示が全部間違っていた」という話ではないことです。
実際のXEM市場も、この時間帯は下落していました。つまり、SELLという方向そのものは実市場の動きと合っていました。
一方で、私の取引画面に表示された決済価格0.04422は、今回確認した複数のXEM/USDT公開市場データでは確認できませんでした。
さらに、同じ約1,000万XEM相当として実市場の代表価格で計算すると、画面に表示された7,300ドルとは異なる結果になります。

図にすると、私が当時見えていなかったものが分かりやすくなります。
「予想が当たったか」だけではなく、「どの価格で約定したことになっているのか」まで確認する。
では、その価格差が利益額にどれくらい影響するのか。
次は、私の画面に表示された7,300ドルを、実際の市場価格を使って計算してみます。
次に、利益額を計算します。
INVDOMの画面では、20ロットを0.04495でSELLし、0.04422で決済して7,300ドルと表示されていました。
この表示損益から逆算すると、20ロットは計算上、約1,000万XEM相当として扱われていたことになります。
実際、
0.04495 − 0.04422 = 0.00073
1,000万XEM × 0.00073 = 7,300ドル
となり、画面内部の損益計算そのものには整合性があります。
では、同じ約1,000万XEM相当をBinanceの代表値0.04534 → 0.04477で単純計算すると、
1,000万XEM × 0.00057 = 約5,700ドル
です。
つまり、本物の市場もSELLなら利益方向でしたが、同じ規模を代表的な市場価格で計算すると、INVDOM画面の7,300ドルとは異なる数字になります。
なお、これは1分足を使った検証用の概算です。実際の取引では約定価格、流動性、スプレッド、手数料、スリッページなどが影響します。
もし100万円を元手に同じ値動きを取れていたら
さらに、初めて投資する人にも分かりやすいよう、日本円で考えてみます。
元手100万円で、今回確認した約1.26%の値動きをすべて利益として取れたと仮定すると、単純計算では次のようになります。
| 仮定した倍率 | 概算利益 | 取引後の金額 |
|---|---|---|
| レバレッジなし | 約12,600円 | 約1,012,600円 |
| 3倍 | 約37,800円 | 約1,037,800円 |
| 5倍 | 約63,000円 | 約1,063,000円 |
| 10倍 | 約126,000円 | 約1,126,000円 |
これは「実際にXEMでこれらの倍率が利用できた」ことを示す表ではありません。値動きとレバレッジの関係を理解するための単純計算です。
手数料、金利、スプレッド、スリッページなども含めていません。
「利益率40%」を実際の値動きから考えてみる
では、LINEで案内された「利益率は取引金額の40%と予想」という数字はどうでしょうか。
今回確認した約1.26%の値動きだけを使って単純化すると、
40% ÷ 1.26% ≒ 31.7
となります。
つまり、元手に対して40%の利益をこの程度の値動きから得るには、単純モデルでは約32倍相当のポジション規模が必要になります。
もちろん、これは翌日のNFP取引そのものを再現した計算ではありません。
ここで伝えたいのは、「40%」という数字だけを見るのではなく、その利益率がどの値動き・取引規模・レバレッジ・リスクを前提にしているのか確認する必要があるということです。
怪しいと思ったら「自分の取引所以外」を5分だけ見る
ここは、現在まさにSNS投資や暗号資産、FXなどの取引を勧められている人に、一番伝えたい部分です。
私自身、当時「別の取引所でも確認しよう」と思いました。
でも、実行できませんでした。
難しい分析をする必要はありません。
5分だけ、LINEと自分の取引画面の外を見てください。

1.まず取引画面を保存する
通貨名、通貨ペア、BUY・SELL、価格、ロット数、取引時刻が分かるようにスクリーンショットを保存してください。
後から画面が消えたり、ログインできなくなったりする可能性も考え、確認より先に証拠を残します。
2.同じ暗号資産の価格を外部で検索する
たとえば「XEM price」「BTC price」などで検索し、自分の取引画面と大きな違いがないか確認します。
ただし、検索画面の価格だけで判断せず、次に複数の市場を見ます。
3.2~3か所の独立した市場を比較する
CoinGeckoやCoinMarketCapなどの市場一覧を利用したり、複数の取引所を直接確認したりします。
一つの取引所だけではなく、2つ、3つと比べることがポイントです。
4.過去の取引なら「同じ時間」の1分足を見る
「21時41分に0.04422で決済した」と表示されているなら、外部市場でも21時41分前後の1分足を確認します。
始値・高値・安値・終値を見ると、その1分間にどの範囲で価格が動いていたのかを確認できます。
5.同じ商品を比較しているか確認する
XEM/USDとXEM/USDT、現物と先物、CFDなど、名前が似ていても同じ商品とは限りません。
Bid/Askやスプレッドによる差もあります。
そのため、「少し価格が違う=詐欺」ではありません。
一方、自分の画面だけが複数の外部市場から大きく離れているなら、その理由を確認するまで追加資金を送らないことが重要です。
送金・追加投資の前に確認してほしいチェックリスト
LINEグループで高額な利益を見せられたり、「今夜がチャンス」「先生の指示通りに」と急かされたりしたときは、次の項目を一つずつ確認してください。
複数当てはまったら、その場で追加送金を止めてください。
金融庁は、暗号資産交換業者の登録状況を公式サイトで確認できるようにしています。登録の有無だけで安全性が保証されるわけではありませんが、確認すべき重要な入口です。
「利益が表示された」と「利益を手にした」は同じではない
私の画面には確かに+7,300ドルと表示されました。
残高も増えていました。
でも、今の私ならそこで確認します。
「そのお金は、本当に出金できるの?」
当時の取引履歴には入金記録が並んでいましたが、その時点で出金は0円でした。
画面の中の残高が増えることと、その資金を自分が自由に管理できることは別です。
SNS投資詐欺や偽の暗号資産・FX取引を疑う場面では、画面上の利益額だけではなく、外部市場の価格、事業者の登録、そして実際の出金まで分けて確認する必要があります。
今まさに似たLINEの中にいる人へ
「先生の指示通りにしてください」
「絶好の取引チャンスです」
「○○ドル稼ぎました」
「次は利益率40%です」
そんな言葉が次々と流れてくる場所では、自分一人だけ立ち止まることは簡単ではありません。
私も止まれませんでした。
でも、もし今この記事を読んで「私の取引も似ている」と感じたなら、5分だけでいいのでLINEの外を見てください。
スクリーンショットを保存する。
別の市場を見る。
同じ時刻の価格を比べる。
追加送金をしない。
そして、グループとは利害関係のない第三者に見せてください。
私は止まれませんでした。だから、あなたには止まってほしい。
まとめ:7,300ドルの表示を、2年後に実市場と照合して分かったこと
2024年4月3日、実際のXEM市場も21時15分ごろから21時41分ごろにかけて下落していました。
そのため、SELLという方向なら利益が出る値動きだったことは確認できました。
一方、私の取引画面に表示された決済価格0.04422は、今回確認した複数のXEM/USDT公開市場データの同時間帯では確認できませんでした。
さらに同じ約1,000万XEM相当を代表的な実市場価格で単純計算すると約5,700ドルとなり、画面に表示された7,300ドルとは差が生じました。
そして、その直後のLINEでは「利益率は取引金額の40%と予想」という案内が出されました。
当時の私は、「次回はもっと稼げる」と考えました。
今なら最初に確認します。
その価格は、外の市場にもあるのか。
その利益率は、何を根拠に計算されているのか。
そして、その利益は本当に出金できるのか。
画面の中だけで答えを探さず、外の市場と公的機関の情報を確認する。
それが、私が被害を経験したあとに学んだ大切な確認方法の一つです。
この記事が、今まさに不安を感じている誰かの「一度止まるきっかけ」になれば嬉しいです。
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English Summary
I compared the XEM prices shown on my 2024 investment trading screen with historical public market data. The real market was falling, but the displayed closing price of 0.04422 could not be confirmed in the external XEM/USDT datasets I examined.
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この記事は、私自身の実際の詐欺被害体験に基づく記録です。これ以上被害者を増やしたくないという思いから、個人で発信しています。
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