被害体験記

SNS投資詐欺|約21万円の利益表示が実際は損失?ADA取引を市場データで検証

LINEで指示されたADAの取引画面には、1,440ドルの利益が表示されました。嬉しくてたまらなかった私に、藤田氏から「もっと取引回数を増やせる」という提案が届きます。でも、私にはもう追加できる運用資金がありませんでした。当時の私は、仲間と一緒に利益を増やし、被災地に募金するという目標を心から信じていました。この記事では、そのLINE記録と私の気持ちを振り返り、実際のADA市場データとの比較も紹介します。

2024年4月6日、ADA取引で1,440ドルの利益が表示された

この日、LINEでADAUSDの取引準備をするよう指示され、12ロットを設定しました。16時頃にBUY(買い)の指示を受け、16時29分頃には決済の連絡がありました。

取引アプリに表示された利益は、1,440ドル。1ドル145円と仮定すると、約20万8,800円、約21万円です。

私は思わず「1440ドルの利益です。最高に感謝です。嬉しいです😀」と返信しました。

あのときは本当に嬉しかったです。

2024年4月6日のLINEでADAUSDを12ロット準備するよう指示された記録
ADAUSDの取引準備を指示されたLINE記録。
ADAUSD.invの買い取引で1440ドルの利益が表示されたアプリの取引履歴
当時のアプリに表示された利益。

表示された数字を信じていた私には、また一歩、目標に近づけたように感じられました。

利益を喜んだ直後、藤田氏から届いた増資の提案

私が利益を喜んでいた直後、藤田氏から個別に連絡が届きました。

グループのメンバーから取引回数を増やしたいという希望が出ていること、資金規模の大きなメンバーには取引回数を増やす支援を行うという説明でした。

その中では200%の利益目標や、短期間で大きな利益を得られるという見込みも示されました。

藤田氏から届いたLINEの取引回数増加と高い利益目標に関する提案
藤田氏から届いたLINEの取引回数増加と高い利益目標に関する提案
利益報告の直後に届いた藤田氏の提案。

漫画で振り返る、藤田氏が説明した取引計画

当時のLINEで藤田氏が説明した内容を、漫画にまとめました。

資金を増やせば取引回数が増え、より大きな利益を目指せるという説明が、どのように伝えられていたのかをご覧ください。

藤田氏がLINEで説明した200%の利益目標、3000万円以上の資金による取引回数増加、専門チームの支援をまとめた漫画
藤田氏の提案をLINE記録から再構成した漫画。

資金額によって取引回数が変わるという説明

藤田氏からは、口座資金の規模に応じて取引回数が変わると説明されていました。

説明された資金区分 取引回数
1,000万円以下 1日1回
1,000万円超〜3,000万円未満 1日2回
3,000万円以上 1日4回

※当時のLINEの説明を要約しています。

さらに、翌週に1,000万円を追加する提案もありました。

もっと資金があれば、もっと取引できるのに・・・ほかのメンバーに追いつきたいと思っていました。

「もう追加できるお金がありません」それでも取引を続けたかった

私は藤田氏に、もう追加できる資金がないことを伝えました。

家族にも相談しましたが、用意することはできませんでした。

それでも私は、もっと取引したかったのです。

今ある資金で利益を積み上げ、口座の資産が3,000万円を超えるまで頑張ろうと思っていました。

そして、いったん出金して日本円で受け取り、そのお金を改めて入金すれば、3,000万円の資金条件を満たして、みんなと同じように取引できる。

当時の私は、そんな方法を思い描いていました。

その方法が認められるか確認できていたわけではありません。それでも、投資を続けて利益を増やせば実現できると信じていました。

藤田氏とのLINEで追加資金を用意できないことと取引を続けたい思いを伝えたやり取り
追加資金についてのやり取り。

グループLINEの取引通知を見るたび、取り残されるようで焦った

個別LINEで資金の話をしている一方、グループLINEには取引開始や終了の案内が流れていました。

ほかのメンバーが参加しているように見えるやり取りを読むたび、私は焦りました。

「みんなは取引しているのに、私は参加できない」

「早く追いつきたい」

そんな気持ちが大きくなっていきました。

2024年4月の投資グループLINEで取引開始と決済の指示が流れ、メンバーが反応している様子
グループLINEの取引通知。

漫画で考える、焦りを生み出す投資勧誘の仕組み

ここで、当時のLINEのやり取りを現在の視点から振り返り、どのような心理が働き得るのかを漫画にまとめました。

ほかの人も取引しているように見えること。画面に利益が表示されること。資金が多いほど取引回数が増えると説明されること。

それらが重なると、「自分も早く追いつきたい」という焦りにつながる可能性があります。

投資詐欺の勧誘手口を分析した漫画。グループの取引通知、利益表示、資金額による取引回数の優遇、大きな利益目標が参加者の焦りや追加送金につながる仕組みを描く
詐欺の手口を分析した再構成漫画。

これは藤田氏が実際に何を考えていたのかを証明するものではありません。

ただ、当時の私は、利益表示を喜び、ほかのメンバーの取引通知を見て焦り、もっと取引したいと思っていました。

その気持ちは、今もはっきり覚えています。

みんなで利益を出して、被災地に募金したかった

私が参加していたLINEグループは、みんなで投資の利益を出し、その利益で被災地に募金するという目的を掲げていました。

グループができた頃のLINEは、私が誤って削除してしまい、記録が残っていません。この部分は私自身の記憶に基づいています。

それでも、その目的を心から信じていたことは、はっきり覚えています。

自分も利益を増やして、みんなと同じ目標に向かいたかった。

だからこそ、取引回数が少ないことが悔しく、早く追いつきたかったのです。

被災地支援を掲げたグループを信じた理由については、2024年5月16日の記事にも残しています。

関連記事:被災地支援の名目で投資グループを信じた体験

当時の私の気持ちを描いた漫画

追加できるお金がない。それでも、利益を積み上げればいつか3,000万円に届く。

そうすれば、もっと多くの取引に参加して、みんなと一緒に目標を目指せる。

当時の私の気持ちを漫画にしました。

追加資金がないナナがグループLINEの取引通知を見て焦りながらも、利益を増やして仲間と被災地に募金する未来を信じていた様子を描いた漫画
LINE記録と本人の記憶をもとにした再構成漫画。

【市場検証】アプリは約21万円の利益表示。実際のADA市場はどうだった?

ここからは、当時の私の気持ちとは切り分けて、実際の市場データと照合した結果です。

比較に使用したのは、2024年4月6日のBinance ADAUSDT・1分足データです。

アプリに表示された価格と損益

項目 アプリ表示
銘柄 ADAUSD.inv
売買 BUY(買い)
数量 12ロット
購入価格 0.5753ドル
決済価格 0.5777ドル
表示損益 +1,440ドル(約+20.9万円)

価格差は0.0024ドル。表示損益から逆算すると、アプリでは12ロットを合計約60万ADA相当として計算していた可能性があります。ただし、ロットの正式な定義や実際の約定は確認できません。

【重要】購入価格そのものが実際の市場と約1.34%ずれていた

今回の検証で、私が特に注目したのは、損益の比較以前に、購入価格の出所が異なっている可能性です。

そもそも、取引アプリに表示された購入価格が、同じ時間帯のBinance市場価格と大きく異なっていたことです。

アプリに表示されたADAUSD.invのBUY価格は、0.5753ドルでした。

一方、2024年4月6日、日本時間16時00分のBinance ADAUSDTの1分足始値は、0.5831ドルでした。

比較項目 価格・金額
アプリのBUY価格 0.5753ドル
Binanceの16:00始値 0.5831ドル
価格差 0.0078ドル
乖離率(Binance基準) 約1.34%
60万ADA相当の価格差 4,680ドル
日本円換算 約67万8,600円

一見すると小さな価格差ですが、今回のアプリ表示から推定される60万ADA相当で計算すると、4,680ドル、約67万8,600円もの差になります。

※日本円は既存の漫画と本文の換算条件を統一するため、1ドル=145円で仮換算しています(当日の実勢レートではありません)。これは価格差を数量に掛けた参考金額であり、実際に発生した損失額ではありません。

約21万円の利益表示を検証する以前に、購入価格の出所そのものを確認する必要があるのです。

ただし、アプリのADAUSD.invとBinanceのADAUSDTは同一商品とは確認できません。また、アプリの約定時刻が日本時間16時00分と厳密に一致していたかも未確認です。

そのため、この価格差だけで架空取引だったと断定することはできません。それでも、価格配信元・取引条件・約定時刻を確認する必要がある、重要な不一致です。

同じ時間帯のBinance市場の値動きを仮定で比較する

比較項目 市場データ
日本時間16:00の始値 0.5831ドル
日本時間16:30の終値 0.5807ドル
価格差 −0.0024ドル
60万ADAの仮定損益 −1,440ドル(約−20.9万円)

もし60万ADAをBinanceの16時00分の始値で買い、表に記載した16時30分の価格で売ったと仮定すると、手数料・スプレッドを除く参考計算は(0.5807 − 0.5831)× 600,000 = −1,440ドル(約−20.9万円)となります。これは実際に約21万円の損失が発生したことを意味しません。

アプリの+1,440ドルと参考計算の−1,440ドルが同額なのは、アプリの表示損益から逆算した60万ADA相当を共通に使い、比較した価格差がそれぞれ+0.0024ドルと−0.0024ドルだったためです。同額になったこと自体は不正の証拠ではなく、選んだ価格と数量による計算結果です。

なお、表の「16時30分の終値」が1分足のどの足の値を指すかは、元データと再照合が必要です。厳密な同時刻の約定価格を示した比較ではありません。

※日本円は既存の漫画と本文の比較条件を統一するため、1ドル=145円で仮換算しています。2024年4月6日当日の実勢為替レートを示すものではありません。

※アプリのADAUSD.invとBinanceのADAUSDTは同一商品とは確認できず、アプリ内の時刻表示も日本時間と一致するとは限りません。この比較は参考シミュレーションであり、実際の取引損益や不正の有無を確定するものではありません。

アプリの約21万円の利益表示と、Binance市場の価格変動に60万ADA相当を当てはめた仮定上の約21万円のマイナスを対比した漫画。実際の損失を示すものではない
市場データを用いた仮定上の比較漫画。実際の損失を示すものではありません。日本円は1ドル145円の仮換算。

アプリに利益が表示されても、実際に市場で売買が成立した証拠にはなりません。

FXや暗号資産の取引では、金融サービスの登録状況、取引商品、価格配信元、約定履歴を別々に確認することが重要です。

☑️ LINE投資詐欺を疑ったときの7つのチェックリスト

気になる項目にチェックを入れてみてください。一つでも当てはまる場合は、新たな送金や取引を急がず、事実を確認することが大切です。

LINEの投稿だけでは、ほかの人の実際の売買や利益は確認できません。

資金を増やすよう繰り返し促される場合は、その条件の根拠を確認してください。

高収益を強調する説明は、損失の可能性を見えにくくすることがあります。

数字が増えても、実際の取引成立や資金の安全性の証明にはなりません。

銘柄・時刻・価格・数量を、独立した情報源で確かめましょう。

焦っているときほど、新しい送金や取引をいったん止めて考えてください。

寄付の目的と投資先の安全性は別です。運営会社や金融商品取引業の登録情報を確認してください。

不安がある場合は、金融庁の注意喚起情報を確認し、消費者ホットライン188や警察相談専用電話#9110への相談も検討してください。

送金履歴やLINEの記録は削除せず保存してください。

関連記事|投資グループを信じた理由と価格検証

今回の出来事を理解するうえで、次の記事も参考になります。

あの日の私は、みんなと同じ未来を信じていた

2024年4月6日。私は利益表示を喜び、もっと取引したいと願い、追加できるお金がないことに悩んでいました。

でも、グループを疑っていたわけではありません。

みんなで稼いで、その利益で被災地に募金する。

そんな未来を心から信じていたのです。

今になって市場データを調べると、当時のアプリの表示と実際の値動きには見過ごせない違いがありました。

もし今、あなたがSNS投資やLINEグループの勧誘で同じような状況にいるなら、どうか一度、独立した情報で確認してください。

私は止まれませんでした。だから、あなたには止まってほしい

この記録が、誰かの立ち止まるきっかけになれば嬉しいです。

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