「予想収益40%」を信じて申し込んだ、2024年4月4日の記録
朝は相場解説を読んでいたはずなのに、昼には翌日の取引に申し込み、個人LINEで追加投資を勧められていました。SNS投資詐欺の被害に遭った私が、当時のグループと個人LINEを振り返ります。
この前編で取り上げるのは、2024年4月4日の朝から夕方までです。経済の説明への信頼が、取引への期待に変わっていく過程を、保存していた記録からたどります。

朝の相場解説には、慎重な助言もあった
毎朝交わされるLINEのやり取り、この日も市場分析から始まった。
大きな利益を強調する言葉だけでなく、リスク管理を促す説明もありました。
それも、私が相手を信用する背景になっていたと思います。
「東野康之」を名乗る相手は、米国株や半導体、日本株の動き、業種別の値上がりなどを説明していました。その後には、高値追いを避けるようにという助言もありました。

詳しい相場解説に加え、慎重な取引を勧める言葉もある。私は、その内容を理解できるようになりたいと思っていました。
今読み返すと、説明が詳しいことと、案内された取引や送金先を信頼できることを、分けて考える必要があったと感じます。
雇用統計の説明が、NFP取引の募集に変わった
初心者の質問に答える講義の後、翌日の取引を「利益を得る絶好の機会」とする勧誘が始まりました。
10時35分、参加者から、非農業部門雇用統計がなぜ重要なのかという質問がありました。先生(東野康之)は雇用、賃金、中央銀行の政策などについて長文で答えています。
質問する人がいて、先生役が答える。投資を学ぶグループのようなやり取りが続いた後、11時11分には「200%の利益目標」に触れ、翌日のNFP取引への参加申込書を提出するよう求めました。
米国の雇用統計が重要なのは、本当です
非農業部門雇用者数(NFP)は、米国の農業以外の事業所における雇用の動きを示す指標です。米労働統計局(BLS)の雇用統計には、雇用者数や賃金を調べる事業所調査と、失業率などを調べる家計調査が含まれます。NFPと失業率は、同じ調査で算出される数字ではありません。
FRB(米国の中央銀行)は雇用と物価の安定を政策目標としています。雇用の動きは、金融政策を考えるための重要な材料です。

今回の申込書が対象としていた2024年3月分の雇用統計は、実際に翌4月5日に発表されました。
ただし、重要な経済指標であることは、特定の取引で40%以上の利益を得られる根拠にはなりません。今回のLINEでは、その利益率を裏付ける計算条件や検証結果は確認できませんでした。
私が振り返りたいのは、その説明から、利益への期待と資金追加の話へ進んだことです。
出典:BLS|2024年3月分の米国雇用統計(2024年4月5日発表)、FRB|金融政策の原則。確認日:2026年10月1日。
申込書には「予想収益40%」と、資金追加の勧めがあった
リスクへの注意と追加投資の推奨が、同じ書面に並んでいました。私は当時、その意味や条件を十分に確認していませんでした。
送られてきたファイルは「NFP取引の参加申込書.docx」です。氏名、口座番号、取引資金の記入欄があり、取引日は4月5日、予想収益は40%と記載されていました。

下側には慎重な取引を促す注意書きがあります。しかし、続けて「投資元金の追加をお勧めします」と書かれ、証拠金の割合が大きいほどリスクが小さくなるという趣旨の説明もありました。
「慎重に」と「追加資金」の間で、確認したかったこと
問題として振り返りたいのは、
この書面だけでは「証拠金の割合」の意味や、どの条件で何のリスクが小さくなるのかが分からないことです。
取引量も増やすのか、損失の想定はどうなるのかといった説明も、この書面では確認できません。
「慎重に」という言葉で安心したまま、「追加すれば安全」と受け取っていなかったか。
その矛盾に、今の私は立ち止まります。

昼の利益表示を喜び、私は参加を申し込んだ
グループで募集されていた取引に、私自身も個人LINEから申し込みました。
きっかけになったのは、昼の取引後に見た利益表示でした。
同じ日の個人LINEでは、11時35分にXEMUSDを12ロットに設定するよう指示が届きました。
12時に成行売り、12時26分には取引終了の連絡があります。
私は画面上の数字を見て、13時02分に2460ドルの利益を喜ぶ返信を送りました。
そのまま翌日のNFP取引にも参加したいと伝え、記入済みの申込書を送っています。

当時の私には、その数字が次の取引への期待になっていました。
個人LINEにも「40%超」と追加投資の勧めが届いた
申込みの後、相手は専門分析チームの見込みとして高い利益率を示し、
余裕資金があれば追加投資を検討するよう勧めました。
14時03分の返信では、「笹田大先生」の専門分析チームによる予想として、翌日の利益率は40%を超える見込みだと説明しています。一回の取引が、普段の数回分の収益に匹敵する可能性があるという話も添えられていました。

私は14時33分に、もう余裕資産はないと返信しました。
それに対して相手は14時48分、現在の資金でも参加できると答えています。
その後、私は「先生、わたし楽しいです」と送っていました。
少しでも資産を増やしたいという期待と、相手への信頼が、当時の言葉に表れています。
グループでは、追加入金の報告が続いていた
個人LINEで追加投資の話を受けていた同じ午後、グループにも取引への期待や入金報告が投稿されていました。
14時43分には、初心者でも稼げたとして追加入金を報告し、もっと大きな収益を狙いたいという投稿があります。

その投稿に添付された画像には、振込金額200万円、日付は2024年4月4日と表示されていました。

さらに16時35分には、翌日のNFP取引は笹田が直接指導するとして、
未提出の申込書を早めに提出するよう呼びかけがありました。

17時16分には、400万円と表示された資金移動情報の画像も投稿されています。

「ほかの人も資金を入れている」という印象を与え得る内容がグループLINEが続きました。
周囲の入金報告を、自分が送金する根拠にしていないか。
今、同じようなLINEを見ている方に考えてほしい点です。
追加送金の前に、立ち止まるためのチェックリスト
相手への信頼、利益への期待、周囲の投稿が、自分の判断にどう影響しているかを振り返ってみてください。
チェック欄はタップしてレ点を入れられます。このチェックリストで詐欺かどうかを判定するものではありません。入力内容はこのページから送信されません。
「先生だから安心」と思っていませんか?
大きな利益への期待で、判断を急いでいませんか?
追加資金を入れる理由が、LINEの中だけにありませんか?
画面の数字を、手元のお金と同じに考えていませんか?
当てはまる項目があれば、追加送金の前に確認する時間を取ってください。チェックが付かなかったとしても、安全が確認できたわけではありません。
SNS投資や暗号資産、FXなどの話に詳しくないことを、恥ずかしく思う必要はありません。分からないことが残っているなら、それは立ち止まる理由になります。
すでに申し込んだり送金したりしていても、次の送金を止めて確認することはできます。「先生に悪い」「みんなが参加している」と感じても、自分のお金を守るために時間を取って大丈夫です。
相手から渡された資料だけでなく、登録やライセンス、その会社とサイトの関係も確認してください。確認手順は、海外金融業者を見分ける4つの確認方法にまとめています。
後編では、夜の利益報告と翌日への勧誘を振り返ります
この日の夜はADAUSDの取引指示があり、その後のグループには利益報告と、資金追加を肯定する投稿が並びました。
昼のXEMUSD、夜のADAUSD、翌4月5日に募集されていたNFP取引は、それぞれ別の場面です。後編ではグループと個人LINEを並べ、夜の期待が翌日の取引へつながる流れをたどります。
📚あわせて読んでほしい、LINE投資詐欺の記録と確認方法
利益率を強調する勧誘や、相手の信用を確かめる方法について、次の記事でも振り返っています。
- SNS投資詐欺の心理誘導|「利益35%」へ導かれたLINEグループの実録
- 投資サイトに会社番号があれば安全?海外金融業者を見分ける4つの確認方法
- LINE投資詐欺のサクラ演出を検証|一人二役の疑いを記録から考える
本記事は筆者が保存した2024年4月4日のLINE記録に基づく被害体験の振り返りです。個人情報は公開用画像で伏せ、経済指標の説明は公式資料と照合しています。参加者の正体、相手の内部意図、表示された取引の実在を断定するものではありません。
私は止まれませんでした。だから、あなたには止まってほしい
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English Summary
This firsthand account shows how explanations of U.S. employment data led to an NFP trading application and requests for additional funds.
Accurate economic information does not establish a platform’s credibility or guarantee the advertised returns.
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