「自分だけの計画書」が、私の警戒心を弱めました
この回では、詐欺グループから送られてきた「利益倍増計画」に、私がなぜ安心してしまったのかを振り返ります。
当時の私は、どれだけ儲かるかよりも、自分だけの計画書を作ってもらえたことが嬉しかった記憶があります。
そしてもう一つ、今見返すと大きな違和感がありました。
送られてきた「利益倍増計画」の違和感
詐欺師から送られてきた計画表には、800万円を元金として、取引を重ねるごとに資金が増えていくような数字が並んでいました。
表の最後には、利益合計3,841,954円という数字が表示されていました。


私は当時、「20%しか使わないのに、なぜこんなに増えるんだろう?」と疑問を持ちませんでした。
後から見返すと計算自体は辻褄が合っているように見えます。
しかし、毎回20%の利益が出ること、
しかも10回連続で成功することを前提にした計画でした。
今思えば、現実性のない前提条件にも
違和感を持つべきだったのだと思います。
今なら分かります。
この表は、投資計画というよりも、「この通りに増える未来」を見せ、
騙し取るお金を多く振込ませるための資料だったのだと。
この計画書で特に注意したいのは、説明文と表の計算の見え方です。
メッセージには、こう書かれていました。
ポジション管理の法則に従って各取引で資金の20%を使用し、残りの80%を波動や衝撃に備えて保有することです。
前提が違うと、計算結果は大きく変わる
この計画書を見返していて、私自身も途中で混乱しました。
「資金の20%を使用する」と書かれているのに、なぜ10回後の利益が3,841,954円になるのか。
ここには、“20%”という言葉の前提の違いがあります。
詐欺師の計画書は、おそらく次のような計算です。
800万円の20%=160万円を運用する。
その160万円で20%の利益=32万円。
800万円に32万円を足して、次回資産は832万円。
そして2回目は、832万円の20%を運用する。
この計算方法なら、表の数字は一応つじつまが合います。
ただ、別の見方をすると違和感もあります。

もし「160万円を運用して32万円の利益が出た」と考えるなら、
次の運用元本は、 160万円+32万円=192万円 と考えることもできます。
その場合、2回目は192万円に対して20%の利益を計算します。
この2つは、似ているようで前提が違います。
詐欺師の表は、毎回「総資産の20%」を取り直して運用する計算。
もう一つの考え方は、「運用資金と利益をそのまま再投資していく」計算です。
10回後の比較では、次のようになります。
詐欺師の計画書:11,841,954円
運用資金と利益を再投資した場合:16,306,778円
差額は、4,464,824円です。
つまり、前提が違うだけで、10回後の結果は約446万円も変わります。
当時の私は、こういう細かい計算の違いに突っ込む余裕がありませんでした。
「先生が作った計画書だから正しいはず」
「私専用に考えてくれたものだから信じたい」
そんな気持ちが先にありました。
今思えば、本物のアドバイザーなら、こういう前提条件を曖昧にしたまま説明することはないと思います。
少なくとも、 どの資金を20%として計算しているのか、 利益は再投資するのか、 失敗した場合はどうなるのか を明確に説明するはずです。
計算がそれらしく見えても、前提条件が曖昧なら注意が必要です。
私は、数字の正しさよりも、 「20%しか使わないから安全そう」 という安心感を信じてしまいました。
でも本当に見るべきだったのは、 計算結果ではなく、その計算がどんな前提で作られているのかでした。
当時の私は、この矛盾に気づけませんでした。
むしろ、「20%しか使わないなら、もっと資金があった方が有利なのでは」と考えてしまいました。
私が安心してしまった一文
当時の私が一番安心したのは、利益の数字そのものではありませんでした。
私が安心してしまったのは、先ほどの「残り80%を保有する」という説明です。
この文章を読んだ時、私は本当に安心しました。
「慎重に運用してくれるんだ」
「危ないことはしないんだ」
「私の資金を守りながら増やしてくれるんだ」
その安心感が、さらに信じるきっかけになりました。

「もっと入金した方がいいのでは」と思ってしまった
ここが、私にとって大きな落とし穴でした。
資金の20%しか運用に使わないと聞いた私は、安心すると同時に、こう考えてしまいました。
「それなら、もっと資金があった方が有利なのでは?」
300万円なら、20%は60万円。
800万円なら、20%は160万円。
私は危険性ではなく、運用に使える金額の差を見ていました。
今思えば、それこそが罠でした。
詐欺師目線で見ると、計画書の目的が見えてくる
この計画書は、単に「儲かる」と見せるだけの資料ではなかったと思います。
数字で夢を見せながら、同時に「リスク管理しているように見せる」ことで、私の警戒心を弱めていました。

人は「絶対儲かる」という言葉には警戒します。
でも、「安全のために80%は残します」と言われると、逆に安心してしまうことがあります。
私も、その安心感に背中を押されました。
本物のアドバイザーなら、利益だけではなくリスクも説明する
正規のアドバイザーや金融機関でも、資産運用の提案書やシミュレーションを作ることはあります。
ただし、正規の提案では通常、良いケースだけでなく、悪いケースやリスクも説明されます。
未来は誰にも分かりません。
だからこそ本来は、複数のシナリオ、元本割れの可能性、手数料、相場変動、資金計画などを確認する必要があります。

このような計画書を見た時のチェックリスト
もし似たような投資計画書や運用シミュレーションを見せられたら、次の項目を確認してください。
- 短期間で大きな利益を得られる前提になっていないか
- 毎回利益が出る前提で計算されていないか
- 失敗した場合、損失が出た場合の説明があるか
- 「あなただけ」「専用」「特別」「聖杯」などの言葉で特別感を出していないか
- 「リスク管理」「80%保有」など、安心させる言葉だけで安全だと思っていないか
- 「資金の20%を使う」と言いながら、表では資金全体に20%利益を掛けていないか
- なぜその利益率になるのか、根拠が説明されているか
- 手数料、税金、為替変動、元本割れの可能性が説明されているか
- 登録業者かどうかを自分で確認したか
- 相手の説明を聞いたあと、自分から追加資金を考え始めていないか
- 利益ではなく「自分を理解してくれている」という感情で信じていないか
私の場合、一番危険だったのは「利益が出そう」と思ったことだけではありません。
「私のために考えてくれている」と感じてしまったことでした。
私は利益ではなく、「あなただけ」という言葉を信じていました
当時の正直な気持ちを思い出すと、どれだけ儲かるかよりも、自分だけの計画書があることが嬉しかった記憶があります。
「私の取引習慣を見てくれている」
「私の資金状況を考えてくれている」
「私のために取引システムを作ってくれる」
そう思ったことで、私はさらに信じてしまいました。
でも、今なら分かります。
詐欺は、恐怖だけで人を動かすわけではありません。
安心感や特別感を使って、人の判断力を弱めることがあります。
English Summary
I was not only attracted by the profit numbers. I trusted the plan because it felt personal, safe, and made just for me.

































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